睡眠の質を上げるためになにをすればいいかな?
睡眠の質を上げるためには「最初の90分」を深くしましょう!
今回は、「睡眠の質を上げるには?」というテーマで書かせていただきます。
・睡眠の役割について知りたい人
・睡眠の質を決める「黄金の90分」を知りたい人
・睡眠の質を上げる具体的な方法を知りたい人
「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」
まずはじめに、「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」について知っておきましょう!
ノンレム睡眠
「ノンレム睡眠」には、脳の休息、成長ホルモンの分泌による体内組織の修復、免疫機能の向上などの役割があります。
ノンレム睡眠の状態では、運動や楽器演奏など習得した運動動作や技術を体で記憶する役割もあるのです。
脳が休息状態となるノンレム睡眠の状態では、眠りの深さが3段階に分けられます。
ステージ1:小さな音で目覚めてしまう浅い眠り
ステージ2:軽い寝息を立てる程度の浅い眠り
ステージ3:声や物音が鳴っても目覚めない深い眠り
脳の休息具合により、朝目覚めたときに熟睡感や満足感を得ることができます。
睡眠の最初の90分で、身体が熟睡モードになる「ノンレム睡眠」をできるだけ深く眠りましょう。
そうすることで、その後の睡眠リズムを整え、睡眠全体の質を向上させることができるのです。
レム睡眠
就寝して、最初のノンレム睡眠の次に訪れるのが「レム睡眠」です。
レム睡眠では、眼球が活発に動くことから「急速眼球運動(Rapid Eye Movement=REM)」を略してレム睡眠と呼ばれる。
「レム睡眠」では、脳は活動していて、思考の整理や記憶の定着を行っているのです。
朝を迎えるにつれ、ノンレム睡眠とレム睡眠の睡眠時間は逆転し、睡眠の後半ではレム睡眠の時間が多くなります。
朝が近づきレム睡眠が増えることで、体も温まり、太陽の光と共に快適な目覚めを迎えられるのです。
ノンレム睡眠とレム睡眠は一定周期で交互に訪れる
「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」はどちらも脳や体にとって大切な睡眠です。
この2つの睡眠は、90〜120分周期で交互に繰り返され、バランスよくとることで睡眠の質が上がります。
睡眠時間を十分に確保して、「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」が周期的にバランスよく繰り返す睡眠時間をとることが大切です。
7時間程度の睡眠時間をとれば、「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」のサイクルを1晩で4〜5回繰り返すことができる。
ノンレム睡眠とレム睡眠の役割
ノンレム睡眠とレム睡眠は、体内で行われている活動の性質や状態など異なった役割があります。
ノンレム睡眠:脳の休息、成長ホルモンの分泌
レム睡眠:体の休息、思考の整理、記憶の定着
睡眠中は、こうして脳と体が交互に休息しながら、記憶の整理や体調管理を体の内側から行っているのです。
睡眠に課せられた「5つのミッション」
ここからは睡眠の役割を深掘りしていきましょう!
脳と体に「休息」を与える
人間の体では、意思とは関係なく自律神経が働いています。
\ 自律神経は次の2つ! /
・交感神経(活動モード)
・副交感神経(リラックスモード)
日中は交感神経が優位です。
体内では血糖値と血圧、脈拍が上がり、筋肉と心臓の動きが活発になります。
脳は緊張感と集中力を増すのです。
ノンレム睡眠中と食後は、副交感神経が優位になります。
心臓の働きや呼吸がゆるやかになります。
また、食後は胃腸の働きが活発になり、消化と排泄が促されるのです。
夜になったらスムーズに副交感神経優位の状態にしないと、寝つきが悪くなり、眠りが浅くなる。
眠りはじめのもっとも深いノンレム睡眠が出現する「黄金の90分」で、副交感神経優位に転換させましょう!
「記憶」を整理して定着させる
睡眠と記憶については、次のような概念が提唱されています。
・レム睡眠中、エピソード記憶(いつどこで何をしたか)が固定される。
・黄金の90分で訪れる深いノンレム睡眠は、イヤな記憶を消去する。
・眠りはじめや明け方の浅いノンレム睡眠では、体で覚える記憶(意識せずに覚えられる記憶)が固定される。
また、最近では、眠りはじめのもっとも深いノンレム睡眠のときに、海馬から大脳皮質に情報が移動し、記憶が保存されるという報告もあるのです。
「ホルモンバランス」を調整する
よい眠りは、生活習慣病の改善にもつながることは研究でわかっています。
睡眠を制限すると、「食欲を抑制するレプチン」が減少し、「食欲を増すグレリン」が増えることが研究でわかっている。
睡眠不足は肥満につながってしまうのです…
\ 最初のノンレム睡眠で多く出るホルモン! /
グロースホルモン:筋肉や骨が強くなり、代謝が正常化される。
プロラクチン:生殖や母性行動に関与する。
皮膚の保水量は睡眠で上がります。
これは肌の水分が、睡眠と密接につながっている「性ホルモン」や「グロースホルモン」の影響を受けるからです。
「免疫力」を上げて病気を遠ざける
睡眠が不適切になると、ホルモンバランスが崩れ、免疫の働きもおかしくなります。
インフルエンザの予防接種でワクチンを取り入れても、睡眠が乱れていると免疫が確立せず、ワクチン接種の効果が認められないという報告もあるほどなのです。
睡眠不足によって、アレルギーが悪化する危険もあります…
「脳の老廃物」をとる
脳は直接、頭蓋骨(ずがいこつ)の収まっているわけではありません。
「脳脊髄(せきずい)液」という保護液につかっているので、転んで頭を打っても、脳が骨に直接ぶつかって傷つかずにすむのです。
新しい脳脊髄液が出て、古いものが排出されるとき、脳の老廃物も一緒に除去されるというエビデンスがあります。
日中の覚醒時にも「たまった老廃物除去」はおこなわれますが、それだけでは追いつかないのです。
就寝時にまとまったメンテナンスが、脳にも必要になるのです。
アルツハイマーになりやすい遺伝子をもったマウスの睡眠を制限すると、アルツハイマーの原因物質のひとつ「アミロイドβ」がたまりやすくなることがわかっている。
「アミロイドβ」は、眠っていれば正常に分解・排出され、蓄積しないはずの脳の老廃物です。
脳の老廃物の排泄がうまくいかないと、アルツハイマーに限らず、長期的に脳のダメージにつながります。
眠りはじめの「黄金の90分」の3大メリット
睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠が繰り返されています。
睡眠で一番大切なのはいつ?
眠りはじめの90分、「黄金の90分」がもっとも大切です!
睡眠で肝心なのは、最初のもっとも深いノンレム睡眠に無事たどり着くことです。
ここでは「黄金の90分」の3つのメリットを見ていきましょう。
寝ているだけで自律神経が整う
入眠して眠りが深まっていくとき、交感神経の活動が弱まり、副交感神経優位になります。
「活動時は交感神経、休息時は副交感神経」という自律神経の役割交代がスムーズに進むと、脳も体もリラックスし、しっかり休息をとることができるのです。
頭痛、ストレス、疲労感、イライラ、肩こり、冷え性など、「なんとなく調子が悪い」という違和感の根っこには、自律神経の乱れがあることが多い。
「黄金の90分」をしっかり眠るというのは、自律神経を整える最高の方法になります。
「グロースホルモン」が分泌する
生物の体はすべて、24時間前後で1周する「固有の体内時計」を持っています。
このリズムが「サーガディアンリズム(概日リズム)」と呼ばれているもので、実際には地球の自転に合わせて「24時間(日内リズム)」で動いているのです。
しかし、グロースホルモンの場合、日内リズムの影響も受けはするものの、その分泌量は圧倒的にノンレム睡眠の質に依存しているのです。
・グロースホルモンは第1周期のノンレム睡眠時に70〜80%分泌される
・「いつもなら寝ている時間」に起きているとまったく分泌されない
最初の90分さえ深く眠れば、グロースホルモンの80%近くを確保できます!
「脳のコンディション」がよくなる
質のよい眠りには、ノンレム睡眠だけではなく、レム睡眠も欠かせません。
最初の深いノンレム睡眠が整うとレム睡眠も整い、「黄金の90分」へと近づいていきます。
その結果、全体のスリープサイクルも整うことがわかっているのです。
うつ病や統合失調症の患者は最初の90分の睡眠が乱れていることがわかっている。
睡眠の質を上げる「体温スイッチ」
「深部体温」と「皮膚温度」
人間の体温は、睡眠時より覚醒時のほうが高くなります。
ただし、これはあくまで、体の内部の体温(深部体温)の変化の話です。
体温は、「筋肉や内臓による熱産生」と、「手足からの熱放熱」によって調節されています。
深部体温は日中高くて夜間は低いですが、手足の温度(皮膚温度)は逆で、昼に低くて夜間に高くなります。
深部体温:体の内部の体温(日中高い、夜間低い)
皮膚温度:手足の温度(日中低い、夜間高い)
健康な人の場合、入眠時には手足が温かくなリます。
皮膚温度が上がって熱を放散し、深部体温を下げているのです。
このとき、皮膚温度と深部体温の差は2℃以下に縮まっています。
深部体温と皮膚温度の差が縮まっていることがスムーズな入眠の鍵である。
体温は「上げて・下げて・縮める」
睡眠の質を上げるために大切なのは、皮膚温度と内部体温の差を縮めることです。
体温を「上げて(オン)、下げる(オフ)」のメリハリが大切だと覚えましょう。
①覚醒時は体温を上げてパフォーマンスを上げる。
②皮膚温度を上げて熱放散すると、深部体温は下がる。
③黄金の90分はしっかり体温を下げて、眠りの質を上げる。
④朝が近づくにつれて体温が上昇し、覚醒していく。
このメリハリがあれば、最初の90分はぐっと深くなり、すっきりと目覚められるようになります。
具体的な体温スイッチの入れ方を見ていきましょう!
就寝90分前の入浴で深部体温を下げる
深部体温のある作用を利用することで、皮膚温度と深部体温の差をより縮めることができます。
そんな深部体温と皮膚温度をより縮める方法として紹介したいのが「入浴」です。
体は、筋肉や脂肪といった遮熱作用のある組織で覆われています。
さらに深部体温はホメオスタシス(恒常性)の影響下にあるので、そう簡単に変動しません。
しかし、入浴はその深部体温をも動かす強力なスイッチといえます。
40℃のお風呂に15分入った後で深部体温を測定すると、およそ0.5℃上がる。
「深部体温が一時的に上がる」というのがとても大切です。
深部体温は上がった分だけ大きく下がろうとする性質があるのです。
0.5℃上がった深部体温が元に戻るのに90分かかります。
つまり、寝る90分前に入浴をすませておけば、その後さらに深部体温が下がっていき、皮膚温度との差も縮まり、スムーズに入眠できるのです。
入眠をパターン化する「脳のスイッチ」
体温が理想どおりに変わっても、それだけでは眠れません。
悩み事があったり、寝る直前まで仕事をしていたり、ゲームやスマホで脳が興奮したりすれば、なかなか眠りは訪れないし、睡眠の質も確保できないのです。
今度は「脳のスイッチ」を入れる方法を見てみましょう!
環境の変化が脳に刺激を与える
慢性の不眠症にかかるのは人間だけですが、環境の変化による一過性(短期的)の不眠は動物にも起きます。
ラットやマウスを住み慣れたゲージから取り出し、新しいゲージに入れたところ、眠りにくくなるという実験データが出ている。
たまにホテルに泊まるとなかなか寝付けないという人もいるのではないでしょうか?
これは環境の変化が脳に刺激を与えて入眠が妨げられていることにほかなりません。
また、「スマホやパソコンの画面から放たれるブルーライトは睡眠に悪い」といわれています。
ブルーライトの影響を睡眠に及ぼそうと思えば、かなり画面に顔を近づけてジッと見続ける、ぐらいのことをしなければ影響はない。
スマホやパソコンが睡眠に影響を与えるのは、ブルーライトというよりも、操作で脳を刺激してしまうことにあるといえます。
「モノトナス(単調な状態)」の法則
運転中に眠くなる原因のひとつは、風景が変わらないことにあります。
単調な状況だと頭を使わないから、脳は考えることをやめ、退屈して眠くなるのです。
モノトナス(単調な状態)にすることは、眠るための脳のスイッチになります。
「退屈」はいつもはあまり歓迎されませんが、睡眠にとっては「良き友」なのです。
「睡眠のルーティン」をつくることで、むだなことを考えず、考えないままスイッチオフで眠ることができる。
いつもどおりのベッドで、いつもどおりの時間に、いつもどおりのパジャマを着て、いつもどおりの照明と室温で寝る。入眠前に音楽を聴くならいつも同じ単調な曲がいいでしょう。
スマホは、ゲームもできるし、メールもチェックできる。交感神経活動を上げてしまうので極力排除しよう。
最高の睡眠をつくる朝の過ごし方
睡眠の質を高めるためには、覚醒のスイッチを押すことも大切です。
特に、朝起きてからの行動習慣が最高の睡眠をつくりだします。
覚醒のスイッチは「光」と「体温」
人間はおよそ「24.2時間」のサーカディアンリズムで動いています。
そんな私たちが、24時間の地球のリズムに同調できるのは、光があるためです。
私たちの朝と夜は光なしでは訪れないし、体温、自律神経、脳やホルモンの働きも、光がないとリズムが崩れて調子が悪くなってしまうのです。
また、覚醒時はしっかりと体温を上げてスイッチオンにしておくことが、よい覚醒を保つ上で大切です。
朝の光を浴びる
目が覚めれば自然に体温は上がっていくが、すぐに行動することでさらに体温のスイッチがしっかりオンになります。
ベッドから出たら、天気にかかわらず朝の光を浴びよう。
メラトニンには「体内リズムを整え、眠りを推進させる」力があるので、覚醒の段階では、分泌を抑えなければなりません。
「太陽の光」は、メラトニンの分泌抑制に大きく貢献してくれます。
朝はシャワーを浴びる
脳を目覚めさせるために、手を冷たい水で洗いましょう。
朝は深部体温が上がっている状態なので、手を水につけることで深部体温と皮膚温度の差を少しでも広げることができます。
また、脳のスイッチオンのためにシャワーを浴びて爽快感を味わいましょう。
気分を引き締めて仕事に行くモチベーションを上げてくれるでしょう。
「朝風呂」は深部体温を上げてしまい、しばらくすると体温が下がり眠くなってしまうためオススメできない。
朝食を食べる
朝食には、体温を上げ、1日のリズムを整えて活動を始めるためのエネルギー補給という役割があります。
また、「朝食を抜いて、夕食だけの食事」をしたマウスや「1日2食でも、夕食のほうを重めにとった」マウスは肥満になりやすかったという研究結果があります。
朝食には「体内時計のリセット効果」と「肥満防止効果」がある。
特に、汁物は体温を上げてくれるので、覚醒を助けるためにも朝食に加えるといいでしょう。
僕の食事は「一汁一菜」をベースにしています。詳しくはこちらの記事をお読みください!
朝に軽い運動をする
朝、ジョギングをする習慣は今や世界的なものになりました。
走ったり運動したりすると交感神経優位になるので、朝の運動をオススメします。
ハードな運動は体温が上がりすぎて発汗による熱放散が起きてしまう。元の体温よりも下がってしまうので注意しよう。
僕は平日の朝はヨガ、休日の朝はジョギングをしています!
睡眠の質を上げて人生の質も上げよう
今回は、「睡眠の質を上げるには?」というテーマで書かせていただきました。
睡眠は毎日繰り返すものだからこそ大切にしていきたいですね。
この記事を参考にしながらあなたの睡眠を見直し、睡眠の質を上げてもらえると嬉しいです。
寝具を変えるのもオススメです!僕が愛用している枕はこちらになります!
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